「ChatGPTの裏側はどうなっているの?」現代のAIの9割以上が採用する「Transformer」というアーキテクチャがあります。2017年にGoogleが発表したこの技術が、AI革命の引き金を引きました。この記事ではTransformerの仕組みを、プログラミング知識なしでわかりやすく解説します。
Transformerとは?
Transformer(トランスフォーマー)とは、2017年にGoogle Brainチームが論文「Attention is All You Need」で発表したニューラルネットワークのアーキテクチャ(設計構造)です。現在のChatGPT・Claude・Geminiなど主要なAIはすべてTransformerをベースにしています。
それまでのAIは「RNN(再帰型ニューラルネットワーク)」という構造を使っており、文章を左から右へと順番に処理していました。長い文章になると、前半の情報を忘れてしまう問題(長期依存性の問題)がありました。Transformerはこの問題を「Attention(注意機構)」という仕組みで解決し、文章全体を一度に並列処理できるようにしました。
TransformerがRNNより優れている理由
・前の情報を記憶して次に渡す
・長文になると前半を忘れやすい
・並列処理が難しく学習が遅い
・長期依存性の捉え方が苦手
・Attentionで任意の単語を直接参照
・長文でも最初と最後を直接関連付け
・GPUで高度に並列化可能・高速学習
・文脈の長距離依存を得意とする
Transformerの主要コンポーネント
GPT・BERTとTransformerの関係
| モデル | Transformerの使い方 | 得意なタスク |
|---|---|---|
| GPT(ChatGPT) | Decoderのみ使用。前の単語から次の単語を予測する学習 | テキスト生成・質問応答・会話 |
| BERT | Encoderのみ使用。前後の文脈から中間の単語を予測する学習 | テキスト分類・感情分析・固有表現抽出 |
| T5・BART | EncoderとDecoder両方使用 | 翻訳・要約・質問応答 |
| Vision Transformer(ViT) | 画像をパッチに分割してTransformerで処理 | 画像認識・物体検出 |
Transformerが変えたもの
Transformerの登場により、AIの性能は爆発的に向上しました。以前は「翻訳AI」「チャットAI」「画像認識AI」がそれぞれ別のアーキテクチャを必要としていましたが、Transformerは言語・画像・音声・動画など様々なデータに適用できる汎用アーキテクチャとして機能します。モデルを大きくしてデータを増やすと性能が向上する「スケーリング則」もTransformerで発見され、GPT-4のような超大規模モデルの開発を促しました。
よくある質問
Transformerとニューラルネットワークは別物?
Transformerはニューラルネットワークのひとつのアーキテクチャです。すべてのTransformerはニューラルネットワークですが、すべてのニューラルネットワークがTransformerではありません。ニューラルネットワークという大きなカテゴリの中に、CNN・RNN・Transformerなどの設計パターンがあります。現在のLLMはほぼすべてTransformerベースのニューラルネットワークです。
Transformerはなぜ「Attention is All You Need」という論文名なの?
それまでのモデルはRNNにAttentionを補助的に追加していましたが、この論文はAttentionだけで(RNNなしで)最高性能を出せると示しました。「Attentionだけで十分だ」というメッセージが論文名に込められています。AI史上最も引用された論文のひとつです。


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